これまでに倒産した消費者金融には超有名な専業大手を始めとして、数多くの事例があることを説明します。その倒産の形態についても、「民事再生手続」や「破産手続」など様々あることにも触れていきます。
具体的な消費者金融の倒産事例(「クレディア」・「クロスシード」・「クラヴィス」)を紹介し、消費者金融が倒産した時には、借金と過払い金に関して重要なポイントがあるということを説明して行きます。
超有名だった消費者金融の専業大手「武富士」を始めとして、消費者金融の中にはこれまでに数多くの「倒産」を経験した所がありました。
これまでに「倒産」した消費者金融を一覧にすると、次のようになります。
「武富士」は消費者金融専業大手「株式会社武富士」のブランドでしたが会社が倒産してしまい、その事業は「株式会社日本保証」がブランド名を引き継いで2013年3月まで行っていました。2012年に社名を「TFK株式会社」とし、2017年で会社は清算されて消滅したのです。
「クレディア」は消費者金融専業中堅「株式会社クレディア」のブランドで、会社は静岡県静岡市駿河区に本社を置くみなし貸金業でした。倒産によって2015年には貸金業を廃業してしまいます。
「クロスシード」は持株会社系(旧ネオラインホールディングス系)の消費者金融「株式会社クロスシード」のブランドで、会社は東京都中央区東日本橋に本社を置くみなし貸金業でした。倒産によって2012年には貸金業を廃業し、2016年には倒産の法的手続きが終結して消滅しました。
「クラヴィス」は持株会社系(旧ネオラインホールディングス系)の消費者金融「株式会社クラヴィス」のブランドで、会社は大阪府大阪市北区に本社を置くみなし貸金業でした。2007年に閉店し、2012年の倒産によって今現在は消費者金融業を行なっていません。
「パン信販」は銀行の資本参加によってできた消費者金融「パン信販株式会社」のブランドで、会社は宮城県仙台市青葉区に本社を置いていました。2005年に東京都の「シンキ株式会社(現:新生パーソナルローン株式会社)」の完全子会社となりました。
「ニッシン」は消費者金融専業中堅「株式会社ニッシン」のブランドで、会社は愛媛県松山市で創業し愛媛県と東京都に本社機能を置く消費者金融・事業者金融でした。2006年に現商号「NISグループ株式会社」となり、グレーゾーン金利から撤退、2010年に貸金業を廃業し、2013年には破産手続きが結了しました。。
「マキコーポレーション」は旧社名「千代田トラスト」で、東京都知事の許可を受けた貸金業者(消費者金融専業中堅)でした。2007年に新規貸付が停止され、2009年に民事再生法適用申請をして、倒産の法的手続きに入ったのです。
「ダイレクトワン」は消費者金融専業中堅「ダイレクトワン株式会社」の略称で、本社を静岡県掛川市に置いていました。2011年に倒産の法的手続きに入るまで、ブランド名「ニコニコクレジット」・「e-NIKO」・「アイリス」などとして事業を行なっていました。
「アエル」は外資系の消費者金融「アエル株式会社」の略称で、本社を東京都港区に置いていました。2008年に民事再生法適用申請を行ない、現在では貸付は停止され、ホームページも存在せず、事実上の廃業状態にあります。
「SFコーポレーション」は持株会社系(旧ネオラインホールディングス系)の消費者金融「株式会社SFコーポレーション」の略称で、旧社名は「三和ファイナンス株式会社」といいます。2008年に「クロスシード」の子会社となり、2011年に過払金債権の返還に行き詰まり、破産手続き開始が決定されました。
一般的には、信用調査会社の「株式会社東京商工リサーチ」や「株式会社帝国データバンク」などの用いている「倒産」と表現する時の基準に基づいて、”どこどこの会社が倒産した”と言っているのです。
このうち消費者金融の倒産の形態には、「会社更生手続」・「民事再生手続」・「破産手続」の3つの事例が見られ、それぞれの会社の事情に合わせて採用されているようです。
消費者金融「クレディア」が倒産に至るまでの経緯をもう少し詳しく見ていきましょう。
「クレディア」の倒産の形態は、法的手続きのひとつである「民事再生手続」というもので、「民事再生法」に基づいた法人の再生を図るもので、個人がこの状態となった場合の「自己破産」にあたります。
会社の創業は1950年とけっこうな老舗で、1957年に「太陽商事有限会社」、1972年に「太陽商事株式会社」となり、1990年に現商号と同じ「株式会社クレディア」に社名を変更しています。1995年に株式の店頭公開を行ない、1997年に東証2部上場、1999年には1部上場と発展して行きます。
2001年には「株式会社パブリック」を合併して、2005年に「株式会社ジェーシービー(略称:JBC)」と資本・業務提携し、2006年にはJCBグループのローンカード事業に与信のノウハウを提供しています。
この2006年には、金融庁や自民党において貸金業に関する法改正が議論され、「貸金業の適正化」・「グレーゾーン金利の廃止」・「ヤミ金融対策の強化」を盛り込んだ貸金業法の改正が行われました。
順調に見えていた「クレディア」の消費者金融事業でしたが貸金業法の改正の影響か、2007年が明けてすぐに消費者ローンを扱う全店舗の閉鎖に至り、7月に現法人の「株式会社クレディア」となった後、9月に民事再生法の適用を申請、10月には株式の上場を廃止しました。
2008年4月に支援先のスポンサー企業として「かざかファイナンス(現:クロスシード株式会社)」と締結し、8月には民事再生計画案が可決・認可決定されるのです。そして、10月に全事業を「株式会社フロックス」に継承し、2012年に同社に吸収合併され、社名を現商号に変更しました。
2012年に「Jトラスト株式会社」のグループに入り、2015年には貸金業を廃業し、現在は「株式会社日本保証」から吸収分割した事業によって、宅地建物取引業者として会社を運営しています。
今はもう消費者金融ではない「株式会社クレディア」では、「クレディア」の名を騙ったFAX送信やWEBサイトがあるので、注意が必要であるとの文書を公開しています。
その事案というのは、「クレディア」を名乗る者が突然にFAXを使って与信の結果を送信してくるというものです。また、「クレディア」を騙るホームページも開設されているため、こちらも注意が必要です。
怪しいニセモノの「クレディア」の情報は以下のとおりですので、絶対に引っかからないように心がけましょう。
項目 | 情報 |
---|---|
電話番号 | 03-5927-97** |
FAX番号 | 03-6869-82** |
Webサイト | http://credia.m*/ |
所在地 | 東京都港区西新橋*** |
本物の「クレディア」も本社は静岡県ではあるものの、東京都中央区東日本橋に営業所を開設しているため、少し紛らわしいところもあるのです。この事案について不明な点などがある場合は、下記の問合せ先に連絡をすると良いでしょう。
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次に「クレディア」の倒産とは別の形態として、消費者金融「クロスシード」が倒産に至るまでの経緯について、もう少し詳しく見ていきましょう。
「クロスシード」の倒産の形態は、法的手続きのひとつである「破産手続」というもので、「破産法」に基づいています。この法律には免責の規定があるため、破産者の更生させることにも繋がります。
会社は1969年に「ロイヤル信販株式会社」として設立されましたが、所謂”信販会社”ではありません。2004年に「LINE」運営のポータルサイト「ライブドア」の子会社となり、社名を「株式会社ライブドアクレジット」に変更します。
2006年、「貸金業の適正化」・「グレーゾーン金利の廃止」・「ヤミ金融対策の強化」などの貸金業法改正が行われます。この年、親会社「株式会社ライブドアフィナンシャルホールディングス(現:かざかフィナンシャルグループ株式会社)」の全株式譲渡によって、「アドバンテッジパートナーズLLP」の傘下企業となるのです。
2007年、社名を「かざかファイナンス株式会社」とし、翌年には「三和ファイナンス株式会社」を子会社化し社名も「ネオラインキャピタル株式会社」となります。そして、2009年の年明けには「かざかフィナンシャルグループ」から離脱します。
4月になって消費者金融専業大手ブランド「プロミス」の子会社「クオークローン(現:クラヴィス)」と、「サンライフ株式会社」・「株式会社セシールクレジットサービス(現:咲永株式会社)」を子会社化し、会社を拡大していきます。
更に9月には、これまた消費者金融専業大手「アイフル株式会社」の完全子会社4社「株式会社ワイド」・「株式会社トライト」・「株式会社ティーシーエム」・「株式会社パスキー」を子会社化するのです。
しかし、会社の拡大路線は2012年に終焉を迎えます。この年、親会社が第三者に株式を譲渡し、貸金業は廃業となり新規申込を停止、商号を「クロスロード株式会社」へ変更しました。
更にこの年2月、本店を東京都港区から宮城県仙台市に移転し再起を図るものの、9月に「クラヴィス」の管財人から破産申立が行われてしまいます。2013年1月、再び本店の移転を行ない現在の東京都中央区へ、12月に破産手続が開始され、2016年年明けに手続きは終結し会社は消滅しました。
消費者金融が倒産して消滅してしまった時に最も心配されるのは、過払い金請求ができなくなってしまうのではないかということでしょう。
「クロスシード」の破産手続によって配当表は確定し配当率が決まった為、配当が実施されて過払い金請求ができない状態になっていますが、取引のあった「プロミス」からは回収できる可能性が大きいのです。
「クロスシード」の配当率は2.15197%で、100万円の過払金債権を持っていれば、2万1,519円配当されるというものです。金額的にはわずかなものではありますが、今はもう「クロスシード」のホームページなども閉鎖されて、請求先が存在はしていません。
しかし、「クロスシード」の倒産までの経緯の中で数多くの消費者金融を子会社化などで関わってきたことが、わずかな過払い金回収の可能性を残しています。また、ブランド名を「ロイヤル・ローン」・「ロイヤル信販」・「ライブドアクレジット」・「かざかファイナンス」・「ネオラインキャピタル」と変えてきたことも見逃せません。
「プロミス」に対して過払い金返還請求できる可能性には、次のように2つあります。
契約切替とは、消費者金融「クラヴィス(旧リッチ・シンコウ・東和商事・クオークローン)」との契約が消費者金融「プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)」との契約に切り替えられた場合です。この「クラヴィス」というのは、「クロスシード」が子会社化したところです。
こうすることによって「プロミス」からお金を借りられるようになったのであれば、「クロスシード」に譲渡される前の過払い金を「プロミス」に請求できる可能性が生まれるのです。これは「プロミス」と「クラヴィス」が「クラヴィス」の過払い金債務を引き受けるという契約をしているからなのです。
債権譲渡とは、「クラヴィス」から「プロミス」への契約切替ではなく、債権を譲渡していた場合です。この場合には、「プロミス」で発生した過払い金についてのみ請求できる可能性があります。
残念ながら「クラヴィス」との契約時期に生じた過払い金の回収にはなりませんが、「プロミス」での過払い金だけでも請求できることは朗報でしょう。
前述の「クロスシード」の倒産や過払い金請求とも深くかかわっている「クラヴィス」の倒産の形態も、「クロスシード」と同じ「破産手続」というもので、「破産法」に基づいています。この法律には免責の規定があるため、破産者の更生させることにも繋がります。
「クラヴィス」は1975年に「リッチ株式会社」として設立され、2000年に「プロミス株式会社(現:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)」の子会社となります。2002年に「株式会社シンコウ」・「東和商事株式会社」2社を吸収合併して、商号も「株式会社ぷらっと」と変更しました。
2005年に商号を「株式会社クオークローン」に変更したその翌年、「貸金業の適正化」・「グレーゾーン金利の廃止」・「ヤミ金融対策の強化」などの貸金業法改正が行われます。するとその影響によって、2007年9月には全店舗を閉店せざるを得ない状況となったのです。
12月に商号を「株式会社タンポート」として巻き返しを図るものの、2009年ついに株式譲渡によって親会社が「ネオラインキャピタル株式会社」に替わってしまい、商号も「株式会社クラヴィス」となるのでした。
2012年1月になるとこの親会社からも離脱することとなり、ついに7月に破産手続開始が決定され、”倒産”ということになったのです。この手続きによる最終配当は2015年9月の債権額の1.5%でしたが、2016年5月になって債権額の0.25%の追加配当が行われました。
倒産後の「クラヴィス」への問合せは、「破産管財人コールセンター」になっていることを説明。BJ
「クラヴィス」の「破産管財人室コールセンター」の情報は以下のとおりです。
また、受任通知・取引履歴開示請求については、以下の3社に問い合わせが必要になります。
社名 | 情報 |
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合同会社エフエムシー | TEL:03-5544-8628 受付時間:10時~17時(土日祝日を除く) |
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 | TEL:0120-72-9500 営業時間:9時~18時(土日祝日を除く) |
アビリオ債権回収株式会社 | TEL:0120-04-9292 営業時間:9時~18時(土日祝日を除く) |
消費者金融が倒産してしまった場合に注意すべきポイントには、残された借金と既に返済した分の過払い金に関したものがあります。
これまで見てきた消費者金融の倒産までの経緯などから、消費者金融が倒産した時にどんなポイントが重要になるかをまとめるとおよそ以下のようになります。
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