> > ヤミ金排除を目指して~消費者金融の歴史を紐解く

ヤミ金排除を目指して~消費者金融の歴史を紐解く

消費者金融といえば、カードローンなどのローン商品を取り扱う金融機関です。昔は「サラ金」という呼ばれ方をしていたことはご存じでしょうか。

そのサラ金は、しばしば違法業者のヤミ金と混同され、あまりいいイメージを持っていなかった人も多かったといいます。でもそれは本当なのでしょうか。

今回は、サラ金から消費者金融と呼ばれるようになった過程や、法改正された経緯も含めて、消費者金融の歴史について紐解いてみたいと思います。

また、サラ金とヤミ金の違い、消費者金融と銀行の違いについても見ていきますので、この機会に一つの知識として参考にして頂けたらと思います。

かつてサラ金と呼ばれていた消費者金融

今でもサラ金と呼ばれることがある消費者金融。そもそもなぜサラ金と呼ばれていたのでしょうか。そして現在の消費者金融との違いはあるのでしょうか。

サラ金は良いイメージを持たれていなかった

かつて消費者金融は、顧客にサラリーマンが多かったことから、俗称として「サラリーマン金融」といわれ、略してサラ金と呼ばれていました。

また、中小の消費者金融が街中に店舗を持っていたことから「街金」とも呼ばれていました。いずれにせよ、借金に対する悪いイメージもあって、サラ金も世間一般のイメージはあまり良いとは言えませんでした。

ヤミ金まがいのサラ金が増加した

金利は利息制限法では上限20%であったものの、出資法の上限29.2%まで設定できる状態にありました。なお、この20%~29.2%の間の金利は無効となりますので、申し立てれば返金されます。

しかも、厳しい取り立てをする消費者金融も少なからず存在したため、サラ金や街金というと、違法業者であるヤミ金と同一視されることもありました。

1970年代後半から1980年代初頭にかけて、サラ金での多重債務により返済ができなかったり、高い金利や厳しい取り立てに苦しむ人の増加、いわゆるサラ金地獄が問題になりました。

こうした悪質なサラ金や、違法業者であるヤミ金を取り締まることなどを目的とした貸金業法の改正を行い、規制強化に乗り出しました。

貸金業法の抜本的改正で健全化へ

旧貸金業法は1983年に施行され運用されていました。元々は「貸金業の規制等に関する法律」、略して「貸金業規制法」と呼ばれていました。では、どのように改正されたのでしょうか。

ヤミ金排除と業界健全化のための大幅改正

新貸金業法は2006年に抜本的改正が行われ、その後段階的に施行され、2010年に完全施行されました。貸金業者に適正化を促し、ヤミ金に厳しい内容となっています。

概要 内容
貸金業の適正化 新規参入に必要な純資産引上げ
自主規制機能の強化
執拗な取立て行為の規制
生命保険金での弁済禁止 など
過剰貸付の抑制 収入等年収の3分の1を超える貸し付けを原則禁止する
指定信用情報機関制度の創設 株式会社シー・アイ・シー(CIC)(信販系)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)(銀行系)
株式会社日本信用情報機構(JICC)(消費者金融系)
金利体系の見直し 上限を20%とする
ヤミ金対策の強化 ヤミ金融に対する罰則を懲役10年に強化

個人に対し収入等年収の3分の1を超える貸し付けをしてはならない、という規定は「総量規制」といいます。この規定によって、過剰な貸し付けを抑制しています。

信用情報機関とは、金融商品を利用したときに個人情報が必ず登録されるところです。ここに登録されている情報を照会し、ローンなどの審査が行われます。金融機関はこのいずれかに加盟しており、それぞれで情報交換もしています。

つまり、他の金融機関で利用しているローンの金額も登録され照会ができるので、総量規制の範囲を超えた貸し付けはできないようになっているのです。

また、上限金利を20%とすることで、グレーゾーン金利と言われた20%~29.2%で貸し付けをした消費者金融を行政処分の対象にしました。

ヤミ金対策として罰則も強化しています。旧貸金業法では最高刑が懲役5年であったものを懲役10年とし、違法営業の抑止としました。

このように大幅な改正をして、消費者保護と消費者金融の健全化を目指しました。また、サラ金の悪いイメージを払拭するために、業界として消費者金融という表現の定着に努めていきました。

消費者金融と銀行の違いを見てみよう

金融機関には、消費者金融と銀行の2種類があります。同じ金融機関でも業務形態などには大きな違いがありますので、比較してみましょう。

同じ金融機関でも適用される法律からして違う

業務形態 消費者金融 銀行
適用法律 貸金業法 銀行法
総量規制 対象 対象外
金利 高め 低め
審査 緩め 厳しめ

まず、消費者金融と銀行とでは適用されている法律が違います。銀行は銀行法に基づいて営業をしています。銀行法には総量規制がないので、年収の3分の1を超える貸し付けは可能ではあります。

ただし、審査の過程において、返済能力などに問題があると判断されれば、3分の1以上の貸し付けはしてもらえない可能性がありますので、総量規制対象外だからと安心はしない方がいいと思います。

一般的に、消費者金融は銀行と比べると金利は高めですが審査が緩めとなっています。消費者金融としては利用者を増やし利息による利益を増やしたいという思惑があるためです。

対して銀行は、審査を厳しくして利用者を選んでいます。その代わり金利を低くして貸し出しをしています。返済能力に問題がない、つまり信用できる人だと判断できれば、貸してくれるというわけです。

消費者金融と銀行、意外と違いがありますので、審査の緩い消費者金融を選ぶか、金利の低い銀行を選ぶかは、その都度判断すればいいと思います。

【関連記事】
あなたはどっち?違いを知って上手に使う、銀行カードローンと消費者金融

ヤミ金には手を出さないで

消費者金融がサラ金と呼ばれていた頃、ヤミ金と同一視され、良いイメージはありませんでしたが、貸金業法の改正によって、かなり改善されていきました。

ヤミ金かどうかを調べる方法はあるのか

消費者金融や銀行は、国や都道府県に届け出をしなければ営業できません。つまり、登録していないところはヤミ金というわけです。

届け出をしていれば消費者金融であれば、下記のような登録番号が発行されます。登録番号はインターネットサイトや店舗に掲載されているはずなので確認してみてください。

  • ○○知事(△)第××号
  • ○○財務局長(△)第××号

ただ、番号を偽造して営業しているヤミ金も少なからず存在します。登録番号は金融庁のウェブサイトで照会ができるようになっていますので、確認するとより安心です。

利用者保護のための法改正でもある

審査に通らなかったからといって、安易にヤミ金に手を出すと、法外な金利と厳しい取り立てで、更に生活に支障が出ることになります。

貸金業法を改正したことは、利用者保護の観点からも意味のあることだと思います。ローンは必要最低限、返済できる範囲内で利用することが、利用者の役割ではないでしょうか。

甘い言葉でお金を貸そうとするヤミ金に流されることなく、まずは消費者金融や銀行に相談をして、自分の年収やライフスタイルにあったお金の借り方をしてください。

新着記事
TOPICS